住まいは寝るためだけにあるのか

自治会の会長、くじ引きで当たり、泣く泣く大役を引き受けている。

ちまちまと、面倒くさい野暮用に忙殺されるが、まさに、全て、住民の暮らしと直結している。


もともと自治会が存在しない地域もあるそうで、そこの住民に聞いてみると、なんの不自由も不便もない、とのこと。

わが自治会が属する(自治)連合が、さらに自治会の上にあるが、3分の2の自治会が、連合から、とうに抜けている。


個々の自治会自体、脱会する個人会員が増えている。

うちの班は、17世帯中、すでに8世帯が脱会し、それに加えて4世帯は、脱会しないものの義務放棄の宙ぶらりん幽霊会員。

(今後、幽霊会員は増えると予測する)

つまり実数としては、3分の1以下の会員数しかいない。



自治会のメリットとデメリット。

たいしたメリットは感じないにも拘らず、何年かに一度回ってくる班長だけでも重荷なのに、今回のウチのように、会長を引いてしまうなどの大リスクがある。


抜けたい気持ちはわかる、、、

が、皆んなそうすると、どうなる?

新しく転入してきた、若い世代には入会を勧め、大概の新住民世帯は、自治会に入ってくれる。

かたや、お年寄り世帯は、自治会を抜けていく一方。

しかし、新しく転入する数は知れている。

さらに、高齢により住み替え転出する世帯もこの1年で我が班だけで、2世帯もある。

やはり、少子高齢化の波を感じざるを得ない。


我が家も、この度の会長を最後のお役目として、抜けたい気持ちはいっぱいだが、あと10年は頑張ろうかと、今、新たに思ったりしている。

(しかしながら、他県にある夫の実家も、町内会の役が回ってくる。

住んでいないということで、免れたいところだが、そうもいかない様子)


一年一年の交代では、まるで何がなんだかわからない。

無理やり、ハンカチ落としのゲームのように、くじ引きで会長や役員を班長の中から決めるやり方。

自治会員だからといっても、非会員とあまり変わらず、さほどメリットも感じず、負担ばかり。

いずれは破綻するのではないだろうか。


しかしながら、自治会としてのメリットは実感しにくいかも知れないが、行政からは微に入り細に入り、目に見えない手厚い保護やサービスを受けている。

行政と世帯一件一件をつなぐ役割が自治会なのだろうけれど。

パイプ役を誰かれなくボランティアで押し付けられるわけだが、嫌がる、逃げるという人が続出しているのが現状だ。


自治会の班長や役員になりたくないのは、共有部分の掃除当番を嫌がるのと同じ。

共有部分は、市町村がやってくれるなら、自治会は脱会して、掃除当番は抜けよう、という考え。


メリットといえば、ただ一つ。

住民同士の絆、連帯感、親睦である。

これは、今の世の中、けっこう大切かも知れない。

わたしは田舎の、息苦しい、重苦しい、暑苦しい付き合いが嫌で、ニュータウンに来て清々しい気分になれた。

さっぱり、あっさりした、お付き合い。

「お付き合い」とも呼べないような、薄味のつながり。


この、サラッとした感覚が好きだった。

今もサラッとしているが、昨今は、脱会続きで、サラッとし過ぎて、超個人主義。

何十年も、ま近くに住んでいても、顔さえ知らない。


わたしが、通学先や勤務先、遊び先の都会志向から、リタイア年齢になり、ぼちぼち住まいのある地元志向になってきたのだろう。

地に足着けて、自宅で暮らす生活が、心地良くなってきている。

歳のせいだと分析している。

平凡な暮らし。それも、悪くない。



さて、わが夫。

会議の参加、司会、采配と司令塔を押し付けられたわけだが、

地元のことをあまりにも知らないことに驚かされる。

彼は、子供達が毎日通っていた幼稚園や小学校のある、近隣の丁(住所)と場所が一致しない。

わたしが、これまで自治会や子供会、PTAなどで歩んできた地域との30年の関わり、夫は何一つ知らない。関心、興味もなかった。

そのほうが、むしろ、わたしは驚愕した。

今回の会長、大当たりで、今までの無関与分を取り戻してもらう、いい機会になったと思っている。
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