さらば無難と言おう

「なんだか飽きてしまったんですよね」と、美容室の鏡の前で本音がこぼれた。手入れはし易いし、髪自体に問題は何もないのだけど、乱れないからこそなのか、決まりきったショートカットがもう、とにかくつまらない。だいたい、「楽」を一番にするっていうのはおしゃれとしてどうなの? なんて、ついこの間まで「楽でいい!」と喜んでいたじぶんを棚に上げてみたりして。

 

そんなわけで、少しだけ「遊び」と言う名のウエーブを入れてもらったけれど、やってみればそれもオバサンぽく見えるだけな気がして、結局、自分で髪を洗った後は真っ直ぐにブローして前と変わらない感じにしてしまっているから、お金の無駄だったなと反省しきり(前よりふわっとはしているけど)。しばらくはこのまま伸ばしていく予定だ。そうしたらまた、ショートの良さが身にしみるだろう。

 

春らしくなってきたせいか、服も明るい色のものが欲しくなっている。
引き出しを開ければグレーの濃淡とネイビーと白にベージュ、たまに濃いグリーンというのは確かに合わせやすくて無難なんだけど、どれを着てもわくわくはしない。


とはいえ、目立たないことを良しとしてひたすら無難街道を走ってグレー系に染まっていた私であるからして、店で明るい色を胸にあててみると、なんだか恥ずかしくて長くは鏡を見ていられないのもまた事実。(実際に似合わないのかもしれない)

 

そうそうそう、美容室で、きれいな濃いピンク色のセーターを着て、それがとてもよく似合っている年配の女性を見て、明るくてステキだなと思ったのだ。でも、髪をやってもらっている間、ケープを着けて服が隠れて、髪もタオルで巻かれて黙っていたら、さっきの女性はどこ? というくらい、至極ふつうの、ちょっと化粧が濃い目に人がいるな……としか思えなかった。つまり、髪と服は大事。明るい色を着ていれば、人から見た印象も変わるのかもしれない。

 

まず、外見から明るくしよう! 

……という、この謎の色気はいつまで続くだろうか、それこそグレー。

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